2009.1
【ボクは迷いながら戦争に向かう生きにくい世界でボクを襲う危ない性と死の誘惑、愛と命を考える・相対主義・フッサール・ベルグソン】
*1
- 作者: 岸川真
- 出版社/メーカー: 早美出版社
- 発売日: 2009/01
- メディア: 単行本
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「不況と世界の緊張は、僕たちの生活を覆うことでしょう。……我慢して言わずにきたけど言わせてください。フリー、自由に暮らす。僕らフリーランサーは社会のカナリアです。組織人が倒れる前に、卒倒する。命を縮める。我々は社会の前衛です。」
【はじめに】不条理に投げ出されて◎フランツ・カフカ「審判」
*2【第一部】一匹起業◎悪党になろう
*3【第二部】仕事と生活◎勝てなくても負けない
*4*5
- 作者: 平田拓朗,林田賢太
- 出版社/メーカー: プラネットジアース
- 発売日: 2005/08
- メディア: 単行本
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【第四部】家、その周囲◎諦めちゃダメだ
*6
【仏文学:Ph.クローデル ル・クレジオ マンシェット ゾラ】
【独文学:Th.マン ホフマンスタール】
【英米文学:V.ウルフ・ウォー・オンダーチェ】
【チェコ文学:チャペック】
【伊文学:ダンテ】
ディビザデロ通り
【吃水、水、小海、水晶を踏む女】
【四方田本・里見トン伝の余白に江戸美人性愛批判〜文人たちのブックカフェとおやつと読書】
わたしは、そうした本と本がつながっていく様を「星座」に見立てます。ですから、連載時のタイトルは《見上げてみれば…――若い読者のための本の星座早見盤》でした。子供の頃からベッドで寝っ転がって読んできた本。特に系統立った読み方なんかしてこなかった自分の読書体験。なのに、不思議とつながっていった。つながって、わたしなりの本の星座ができていった。その一端を紹介することで、14歳で不安だらけでコンプレックスだらけだった自分に「つながったよ」と報告してやりたかったのです。*7
書店の選び抜きの基準には、え、ここ入ってないの? *8とか、う〜んと訝しむところもありますが、まあそれはそれ。それよりも、収録されたコラムはまあまあとして、「特別インタビュー」としてプロモーター康芳夫氏*9の話は面白いので、出版業界事情好きにはもってこいである。
【神仏日本人の政治の虚構の時代の思想家】
【芸術=美術=技術】
絵画のように美しい調和のモノクロプリントが収められている。写真屋さんの子として生まれた小島一郎は、終始地元の青森を撮り続けた。その郷土愛が写真に漲るようで、彼の青森が出来上がっている。ただの青森ではない。
自然厳しい青森を、とても優しく写し撮っている。粒子の荒い田舎道も、露光時間を多くして白く飛ばした大気も、小島の視線をとおして等しく温かい情景になる。マリオ・ジャコメッリの写真ではないが、土地に馴染む写真家の眼、態度、才能が、対象をわがものとしている。*10
W・H・ヴァッケンローダー『芸術に関する幻想』
西野嘉章『西洋美術書誌考』戸田ツトム 『エフェメラル デザインと陰影の美術史』
【世界人類の観光都市ドイツの散歩の迷宮博物館の庭】
【熱学のぐそ】
物心つきし頃より現代社会に反発を覚えていた青年は、人里離れた野山ばかり歩いていた。その野山にも人間のゴミがもたらされ、人間(社会)嫌いにも拍車がかかった。しかし自分も人間である以上は、生きているだけで自然破壊を助長する存在であることを免れることは出来ない。自然を見つめるなか、彼はキノコの生長に目を奪われ、写真家を志し、キノコの滋養となる大地に思いをいたす。
偉そうに自然保護を叫んでいたころよりも、野糞に励むようになってからの方が、よっぽど親身になって林をいとおしんでいる自分を発見した。
農業家でない自分が自然保護のために何が出来るか。彼は思った、野糞にほかならない、と。野糞を滋養とした美しいキノコが口絵を飾っている。
かねてから臭い仲だとは思っていたが、やはりウンコとキノコは、切っても切れない関係だったのだ。
写真家になり、糞土師になる彼のウン命のはじまりである。
どんなコンディション(天気も体調も)でも、水洗便所は使うまい。そう心に決めて、自宅の庭はもちろん、野山、公園、都会の林などの自然の地を求めて、彼は東糞西走する。穴を掘って脱糞したさい、はじめは現代人の習慣にとらわれティッシュペーパーを少量使って後始末をし、ウンコと一緒に葬っていた。しかし後日掘り返してみると、糞のほうは糞失して土に返っているにもかかわらず、ティッシュは原形を留めていることを尻、紙ではなく、インド式の水や、草木の葉を使うようになる。尻を拭うにも涙ぐましい創意工夫がみられる。
屋外で、尻を丸出しにして、ウンコをひっぴり出す行為だけ取ってみても、季節との闘い、虫や動物との闘い、人との闘いは大変なご苦労だと思う。夏場の蒸し暑い日など、たちまち何十匹ものカの大群に取り囲まれる。首や腕、さらに尻から太股にかけて肌が露出していては、必死に振り払おうとしても、わずか二本の手では到底勝ち目がない。とりわけ肛門周辺はウンコがあるので、うかつに手を出せない聖域だ。超特急でウンコをすませ、痒みが駆けずり回る尻に触ってみると、刺されて腫れ上がったところがさらに刺され、二段重ねに膨らんでいるのも、あちこちにある。これが尻一面に広がっている様子は、まるで大仏様の螺髪(ら・ほつ)頭だ。
その苦労の甲斐が、彼の付ける野糞率(便器を使わずに糞をする)の上昇に跳ね返ってくる。この御仁、35年間のほとんどを野糞して過ごし、糞の状態、立地などを記録する。健康管理と自然管理を両立させてしまう。もちろん、野糞の快楽に目覚めたものが果たせることであるのは言うまでもない。
最終的に自分が返したウンコの自然回帰の確認も怠らないあたり、糞土師たる所以、糞の始末を忘れないとはこのこと。出糞後の経過時間・時期によってどう土に返っていくか、形状匂いを確かめるエコロジストの徹底ぶりは堂に入っている。あっぱれだ。
書き方をちょっと真似てみたが、糞にまつわる駄洒落表現もさり気なく散見されて楽しいエッセイだ。意味あることに執着する変人奇人の本は大好きである。
巻末付録に袋とじのウンコの写真が載っている。見たくなければ、閉じたままにするがよろしい。見なくてもじゅうぶん〈野糞の効用〉に気づくはずだから。野糞が自然を変えることを検証した立派な科学本である。野糞の出来る庭や田舎の人がうらやましい、かも。
【よろけた拍子に貯金のできる人を見抜く小悪魔ジュセリーノのリストラ回復力は坐る力―もうご臨終の芥川賞の「原罪」を「探偵」する家郷の社会史全覧は煙たくなるほど意外な地元のきのこ建築の作られ方でわかるアメリカマイクロソフト「超実践的」「読む技術」】
【世界望郷旅行】
【柴田真夜中PLANTEDモンキーゲーテ】
*2:「その見解には同調しかねます」とKは、頭をふりながら言った。「なぜといって、もしその見解に従うとなれば、門番の言ったことをすべて真実だと思わなければなりません。ところが、そんなことがありえないということは、あなたご自身でくわしく論証されたではありませんか」
「いや」と僧は言って、「すべてを真実だと思う必要はないのです。ただそれを必然だと思えばよいのです」
「陰気くさい考えですね」とKは言って、「嘘が世界の法にされるわけだ」
*3:「第一稿ができましてね。ところが、君、この本じゃ撮れないってわけですね。君は大学は出たかもしれないけれども、浮世大学は出てないっていうんですよ。この、浮世大学を出てないような本じゃ私は撮れませんよってね、ぱっと投げたですよ、本を」
*4:「楢雄は生れつき頭が悪く、近眼で、何をさせても鈍臭い子供だったが、ただ一つ蠅を獲るのが巧くて、心の寂しい時は蠅を獲った。」
*5:「そうですね、」といったが、その声はとなりの山本にさえ聞こえなかったにちがいなかった。すると、まえの鶴丸が、ふりかえって、
「メリーというのは『楽しく』です、」と大きな声でこたえた。
「はあ、たのしく、」と山本はくりかえした。
「ゴーは『ゆく』……」と鶴丸はいった。「ラウンドは、さあ、ラウンドは(ランドじゃない、ラウンドですよ)ラウンドは『まわる』ですな。……『たのしく、ゆく、まわる』です。」
*6:ジョオニイ いったい、ぼくたちどこへ行こうっての、パパ?
ジョオニイの父 心配しなさんな、ジョオニイ。ただパパについてくればいいんだ。
ジョオニイ 別に誰がどうってことはないんだけど、パパ、ぼかあ、何かどこかに悪いとこがあるんだと思うな。
*7:文芸作品の個別紹介や作品から作品への数珠つなぎ、テーマの分け方は面白かったが、本書を読んでみて、題名の〈勝てる〉といったことに、〈感服つかまつり候〉とは相成らなかった。まあはなから愚直にそう思って読んだわけではないのでいいけども。もっとも面白かったのが、「第1章 ガイド座」。トヨザキさんも高山宏好きなのがよく分かったし、本好きならではの書物の星座の広がりを、自分自身愉しむということも納得である。「第2章 キモメン座」「第3章 ケンカ上等!座」「第4章 江頭2:50座」「第5章 ご先祖供養座」と勢いづいていてよかったが、「第6章 呪怨座」が内容てんこ盛りのせいか、14歳の読者を忘れてしまうような書き方で、少々失速。最終「第12章 前を向いて歩こう座」に着地するのもいささか凡庸というか(最後が石田衣良というのが納得いかんなあ)、終わりよければ全て良しといかなかったが残念。でも読んで、自分の星座を新たに広げる、再度輝かせる良書の紹介もありがたいものではあった。
*8:南阿佐ヶ谷にある書原本店は入れとかなきゃならんだろう云々。
*9:
篦棒な人々ー戦後サブカルチャー偉人伝 (河出文庫 た 24-1)
- 作者: 竹熊健太郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2007/12/04
- メディア: 文庫
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*10:余談ながら、間村俊一氏の装幀に相応しい角背の写真集である。青森で展覧会が行われているが、東京でも他の都市でも、是非やって欲しいものである。