東横線のにくいCM

urotanken2010-08-16

振付とメロディ(「噛むとフニャンニャンニャンニャニャン〜♪」でお馴染み)がコミカルなロッテガムFit'sのCMの出来映えは見事で、フニャンニャンと柔らかい新触感だけではなく、40分も味が長続きするということを、電車の乗車時間で計測したという設定で、東急東横線とコラボしたのが、下記コマーシャル。


しょっちゅう使われる京王線とは違って*1、割と撮影に渋ちんなイメージの東急だ。その東急が全面的に制作協力するのも、無理はない。お猿の電車、東横線が、たったの40分で東京・渋谷から横浜・中華街まで連れて行ってくれることを良くアピールするにもってこいなCMプランだったからだろう。プランナーはお手柄というほかないが、佐藤健ら若者3人組が、東京から中華街まで東横線に乗って出かけるという物語である。いちいち降りるはずもないが、急行停車駅で降りて踊っているのは面白いし、渋谷〜各停車駅間の所要時間が表示されているのもにくい演出である。メロディもよく考えられている。「よん、じゅー、ぷんー、味がずんずんずんずずーーーっと続くよ、どこまでーっ、味が40分、ロッテのフィッツ、リンク!」と、途中、『線路は続くよどこまでも』をパロディとして組み入れていて、「どこまでも」ではなく、「どこまで」で止めているところなど配慮も細かく、じつに巧い。


急行停車するはずの、学芸大学駅とみなとみらい二駅の画がないのは、15秒という時間制約と、メロディラインやリズムとのかねあいではないかと考えられる。*2みなとみらい駅をいれて、綱島駅を外してもよかったのではないかとも思うが、まあどちらでもよいか。

横浜駅に着くや、終盤に必ず出てくるFit'sのCMの守り神的キャラ渡辺直美が、「横浜」と書かれた白い着ぐるみでさりげなく登場し、元町・中華街駅、地上の中華街まで、一緒に踊って伴走する。なぜだか、横浜に着くまでは、駅のホームで踊っていてもだれ一人彼らを気にかけている様子も見られないのだが、横浜からは(というか、元町・中華街駅のシーンでは)、ホームいる客の、驚きの視線が集められている。

40分で、ここまで長持ちするんだというイメージを、「線路は続くよ〜」的な路線にのせて謳っている。ほかの私鉄路線ヴァージョンも見てみたいと思わせる目眩く駅コマも魅力的な演出だった。本CMのヒロイン、佐々木希のヴァージョンだとどうなのか。健君とデートで行く篇もありだろうが、電車に揺られてというウェイブの演出は3人が丁度良かったのだろう。希ちゃんの女友達で出かけるパターンもぜひ見てみたいところである。

*1:玉木宏が噛んでいるクロレッツが30分続くという都営新宿線を用いたCMは、車窓から、ラウンドガールのような女性がそこかしこで、5分とか10分と書かれたボードを持っているというだけで、おざなりにみえる。そもそも、都営新宿線でなくても、玉木宏でなくてもまあいい訳だ。

*2:学芸大学駅の両隣り、中目黒と自由が丘ははずせない重要乗換駅だろうし、東横線の半地下駅・地上駅のコントラストとして、「自由が丘・田園調布」「田園調布・多摩川」、「武蔵小杉・日吉」、「日吉・綱島」の並びも画的にもはずせない組合せだろうから、やむを得なかったのだろう。