文芸誌雑感

urotanken2006-10-11





積ん読ばかりでまともに読めない鬱々とした日々が続くも、書店やウラゲツ☆ブログなどで、新刊チェックだけはどうにもやめられない。月刊の文芸誌も毎月一冊くらいは購入して目を通すことにしている。とはいえ、掲載された全作品を読み通すことはこれまた、かなわないことだ(その気力も体力もない)。今回訪ねた芳林堂書店高田馬場店さんにて、目に留まった記事・作品は以下のものである。

新潮 2006年 11月号 [雑誌]

新潮 2006年 11月号 [雑誌]

文学界 2006年 11月号 [雑誌]

文学界 2006年 11月号 [雑誌]


「新潮」掲載、「エスケイプ/アブセント」*1もそうだが、絲山秋子の小説作品には実在の土地や場所の名前が頻出し、地図を頭に巡らしながら歩行するような読書感覚が味わえることもあって、とりわけ愛読している。この作品では、先日学会で訪れたばかりの京都の街*2がたまたま描かれていて、主人公の目眩く京都市街の散策模様に思わずのめりこんでしまう。

文學界」の特集、「世界の文学賞はどうなっているか」はざっと眺めたかぎりだが、特集として組まれるほどのものではないというのが正直な感想である。昔日の文芸誌ならば、たとえば『海』のような雑誌は海外の文学作品や文芸事情を熱心に知らせてくれた。思うに海外文学の輸入業者という親切で心ある人たちが日本に少なくなったということである。各国文学者はそれぞれの国の事情通である以上、紹介業(翻訳業にかぎらず)を怠ってはならないのではないかと思う。

*1:単行本化しています。

エスケイプ/アブセント

エスケイプ/アブセント

*2:エスケイプ/アブセント』では、とりわけ京都大学近くの百万遍河原町が印象に残った。