『人間になるための芸術と技術―ヒューマニティーズからのアプローチ』〜人文学のありかたについて本気で考える本
新聞だか雑誌だかでの小さな前評判と、題名から察するに間違いなく面白そうだと思い、購入。
これがメチャクチャに面白い! 日本の人文学の来し方行く末を真剣に考察している。時間がないのでひとまず観想は措くが、大学の人文学のありかたはもちろん、人文書の未来を考える者にとっては必読といってもよい問題提起がなされている。出版*1業界人必読の書であろう。こういうクリティックが、大学人からじゃんじゃん出てこないと本当はおかしいのである。
人間になるための芸術と技術―ヒューマニティーズからのアプローチ
- 作者: 小野俊太郎
- 出版社/メーカー: 松柏社
- 発売日: 2009/12/01
- メディア: 単行本
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この本の中でも言及される、長谷川一の『出版と知のメディア論』*2と併読したいところだが、こちらは絶版。むむむ、何としてでも入手せねばならん。長谷川氏は現在アカデミシャンだが、元人文書出版社*3の編集者畑の人。やはり危機意識のある人ではないか、と推察する。
ほかには、
- 作者: 石橋正孝
- 出版社/メーカー: 左右社
- 発売日: 2010/01/25
- メディア: 新書
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- 作者: 末延芳晴
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2009/11/01
- メディア: 単行本
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を読んでいる。前者は論法・論点が興味深く、下手な色気や気取りのない文章がかえって、心地よい。書き手本人を知るだけに、著者として、まとまった論攷が読めるのは嬉しいことだ。東大駒場出身の、ばりばりのアカデミシャンの系譜ながら、らしからぬ山っ気があって、文芸評論家*4・翻訳家として大変期待している。この人とは、腰を据えた仕事を一緒にしてみたい。にしても、この本の、綺麗な装丁だこと。
後者も前評判で気になって買って読んでいる。今のところ、想定内の展開でまずまずだが、はたしてどうなるか。まだ驚きはない。