ざっと見新刊

urotanken2006-11-01




僕はだいたい、本屋さんの店頭か、本屋さんで配っている出版社のPR紙に目を配り、新刊関係で気になったものを購入したりしている。会社のある早稲田近辺では、あゆみブックス早稲田店さんのおかげで、新刊の目配りが出来る。気になったものだけ挙げる。


季刊graphic/design[グラフィックデザイン]2号

季刊graphic/design[グラフィックデザイン]2号

グラフィックデザイン』の、薄手ながらに読ませて見せる記事はいつも愉しみにしている。太田出版から出ている『d/SIGN』よりも厚みも内容も手軽だけれど(もちろん『d/SIGN』も味読しているが)、全記事をざっと見するのに丁度よい頁数であるなあと感心する。ざっと見して目をひいたのは、祖父江慎氏の記事「“星の王子さま”20冊の身体検査 並べてみよう…1」。内容比較ではなく、本の背表紙に始まり、出版社がそれぞれ「星の王子さま」に使用した本文のフォントや級数・ポイントの比較が見開きで配置されている。こういう造本から眺める企画は面白い。

『水声通信…』は表紙の、「何のための出版?」という巨大なゴチックロゴにひと目奪われて、即座に購入。特集記事もなかなかのものだが、「出版社(についての)大アンケート」で出版社の編集者・営業者、書店人、アカデミシャンなど20余名のアンケート結果が載っている。ふむふむと読んでいると、アンケートの最後のひとが湯沢英彦先生で、下降路線を辿っているフランス文学をめぐる状況(吉川一義先生曰く「土砂降り」)でも頑張っているフランス語関係の出版社として(水声社も言及こそないが言うまでもないこと)、小社を含め、恩義を感じてくださっている。詳しくは読んでもらうこととして、小出版社ゆえにできること、それもフランス文化関係に力を入れてきたことは事実で、だがしかし、それだけでははっきり言って頭打ちと言えるだろう。既存のやり方では努力が足りないと世間で見られても仕方がないのかも知れない。仏文の遺産をいかに継承できるかは日々考えていることでもある。湯沢先生の期待に応える気概は持っているつもりだ。


文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。

文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。

『文藝ガーリッシュ…』は文化系「小娘(フィエット)」のための、「辛口な」読書の手引きである。千野帽子アンソロジストとしての裾野の広さにはいつも脱帽だが、辛口なコメントというよりも、見識の豊かさに驚かされる。「文學少女の手帖」のコーナーが文學少女の歩みと文化的状況の変遷を概括してくれている。本書の紹介文も辛口で笑えた。「ガーリッシュ」とは聞き慣れない言葉だけれど、これは「ガーリー」だと悪いニュアンスになってしまうのだそう。 *1

*1:エキサイトブログはエクスポートできないので、せっかくいただいたトラックバックを、コピペさせてもらいます。ごめんなさい千野帽子(チノボーシカ)さま。「Tracked from 0007 文藝檸檬 at 2006-11-06 10:03 x タイトル : [記事]じつは『グラメール』を仕事で使っています。お取上げいただき、ありがとうございます。 http://urotanke.exblog.jp/4465314/ ...more」